20世紀初頭(1900年〜1910年代頃)に製作されたであろうウォールキャビネットです。
全体はビスに依存せず釘を主体として組み上げられており、
工業的な規格化が進む以前の家具に見られる構造です。
内部に見られる三層構造の板材には中芯にやや粗さが感じられ、
合板技術が発展途上であった時期の特徴でもあります。
素朴な金具や使用されている材料の選び方からは、華美な装飾家具というよりも、
当時の一般家庭において日常的に使用されていた実用家具であった様子がうかがえます。
左右の収納と中央の引き出し、下部のフックを備えた構成も、
生活の中での使いやすさを重視した設計です。
素材には虎斑の現れたオーク材が用いられており、
使い込まれることで生まれた深みのある風合いと、穏やかな表情が魅力となっています。
これら複数の要素(構造・素材・全体の意匠)を総合的に踏まえ、
本品は19世紀末から20世紀初頭にかけての過渡期に製作されたものと思います。
ただし、家具は後年の補修や部材交換が行われる場合もあるため、
特定の要素のみで年代を断定するものではありません。
キッチンやダイニングでの収納としてはもちろん、
空間に温かみを添える実用的なアンティークとしてお楽しみいただきたいお品物となります。
(size: W1290 D210 H800 程度)
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